アメリカと日本のカイロプラクティック教育
2005年、WHOは国がカイロプラクターの試験や免許に関する規定を作成する際の基準について定めた『カイロプラクティックの基礎訓練と安全性に関するガイドライン』を発表しました。
これに基づき、カイロプラクティックが法制化されている国々では、カイロプラクティックの仕事をする者は、最低条件として、医学部と同等の4年以上の大学教育(約4200時間)を受けることが必須とされています。授業内容は、解剖学、解剖実習、生理学、病理学、画像診断学などの基礎医学と、カイロプラクティック哲学、テクニックなどの専門的な知識や技術などです。
残念ながら日本にはカイロプラクティックに関する法律がありません。日本独自のカイロプラクティック大学も国家試験もありません。そのため、日本では誰にでもカイロプラクティックの開業をすることができてしまいます。 現在、日本には数万人のカイロプラクティックの先生がいると言われていますが、カイロプラクティックの大学を卒業した先生は、その約4%(約600人)、さらに海外の開業免許を持っている先生はごく一部であるといわれています。(2012年1月現在)
▼日本とアメリカのカイロプラクティックに関する比較
日本 | アメリカ | |
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国家資格ではないために誰でも開業できます。カイロプラクティックの大学の卒業者は全国ではカイロプラクターの約5%(2012年1月現在)で、そのうち千葉県内では15人程度です。「整体」と「カイロプラクティック」を混同して開業している方も多くいます。 | カイロプラクターについて | 法制度のある国では、全てのカイロプラクターが大学教育を終了し、開業試験をパスしています。 |
カイロプラクティックに関する法律はありません。そのためすべて自費診療となります。保険が適応される場合は、違法の可能性があります。※ただし、海外の保険、交通事故については適応となるケースがあります。 | 法律について | 保険診療が可能です。 |
日本には法律がないため、日本独自のカイロプラクティック大学の設立は不可能です。CSCプログラムという開業者向けの大学教育プログラムがあります。 | 大学教育について | 約20校の大学が存在します。※大学によっては4年制の大学卒業や理系の必修科目の履修を入学条件としています。 |
正式なカイロプラクティック大学では、学位として「D.C.」「B.C.Sc」「B.C」が授与されます。一部の私的な学校では上記の学位や、「Ph.D」を金銭で授与していることがあります。 | 学位について | カイロプラクター全員が学位を持っています。 |
カイロプラクティックが政府と国民に正しく認知されていません。法律が制定されればカイロプラクティックの治療に保険が適応になるでしょう。現在既にそういう環境が整っている国では「国民が法制化の後押しをした」と言われています。私たちもカイロプラクティックの法整備を目指し、少しずつでも啓蒙活動を続けていたきたいと考えています。 | 社会的認知について | カイロプラクティックが政府と国民に正しく認知されています。 |
カイロプラクティックの国際基準
1988年5月に36カ国の代表団体からなる「WFC(世界カイロプラクティック連合)」が設立されました。WFCは、現在では世界保健機構WHOにNGOとして正式に登録をされています。 WFCは、カイロプラクティックの基準や職業としてのアイデンティティを守るために、2001年5月の第6回パリ総会で「WFC宣言」を採択しました。これは歴史上、世界で始めて表明されたカイロプラクティックについての見解として話題となりました。この宣言の一番重要な点は、WFCが「カイロプラクティック」や「カイロプラクター」の名称の使用を、以下の国際基準を満たすものに限定し、許可するようになったのです。
WFC政策宣言(引用)
法制化されていない国々において、正規な教育を受けずにカイロプラクターとして開業する人たちがいる。その人たちは、「カイロプラクティック教育」と称する非公式な学校や短期コースを受けてきた。これらの状態は、国民の健康とカイロプラクティック業界の名誉に反することを認め、WFC第6回パリ総会で次の宣言を行う。
- 「カイロプラクター」、「ドクター・オブ・カイロプラクティック」、あるいはそれに類する名称の使用は下記のものに限定する。
(1)表記の法的な免許を持ち登録されたカイロプラクター
(2)正式なカイロプラクティック認定団体(例・CCE)、または政府認定団体による正規な卒業生
(3)WFC国際憲章(1997年東京)に従い、WFCの加盟するその国の代表団体が暫定的に承認したプログラムの修了者。 - 「カイロプラクティック」とそれに類する名称は、カイロプラクティック開業に向けその技術と能力を教えるとする学校やコースに使用される場合は、下記に限定する。
(1)正式なカイロプラクティック認定団体(例:CCE)、または当該国政府認定の場合。
(2)WFC国際憲章(1997年東京)に従い、WFCの加盟するその国の代表団体が暫定的に承認した教育プログラムや学校。
この宣言は、法律的な拘束力を持つものではありません。しかし、これにより「国際基準」という世界共通の定義ができたといわれています。それは、患者さまの健康を少しでも安全に「ケア」するために重要なことです。日本のカイロプラクティック業界が国際基準に達することは患者さまの利益となります。カイロプラクティックでは適応しない疾患の早期発見、より適切な治療、そして法制化による費用負担の削減が大いに期待できます。
ほうじょうカイロプラクティックは、日本では数少ないWHO基準のカイロプラクティック教育の背景を持つ院として、医療従事者として研究を続け、患者さまのために西洋医学や東洋医学の枠を越えた「チーム医療」を構築することが重要と信じています。